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筑波大学式低周波鍼通電療法:周波数により内因性オピオイドの種類が異なります


2023/04/26 09:07

筑波大学式低周波鍼通電療法は、鍼に低周波電流を流すことにより、
疼痛緩和や自律神経の調整などの効果が期待される治療法です。
 
同時に、低周波鍼通電療法により内因性オピオイドが放出されることが示唆されています。
内因性オピオイドとは、脳内に存在する自然の鎮痛物質であり、
モルヒネのような薬物と同様の鎮痛作用を持つことが知られています。
 
周波数によって内因性オピオイドの種類が異なるという研究結果も報告されています。
 
例えば、
低周波の電気刺激によって、ベータエンドルフィンという内因性オピオイドが放出され
高周波の電気刺激によって、エンケファリンという内因性オピオイドが放出されます。

 
複数箇所がどうにもならないほど痛い時にお役に立てる方法です。


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筑波大学式低周波鍼通電療法において、
低周波刺激によってベータエンドルフィンが放出され、
高周波刺激によってエンケファリンが放出されるという報告については、いくつかの研究があります。
 
 
2002年の研究の論文
Kawakita K、Shinbara H、Itoh K、et al. 
 "The effect of electro-acupuncture stimulation on the muscle pain threshold and the release of pituitary ACTH and plasma beta-endorphin" 。
International Journal of Neuroscienceに掲載。
 
この研究では、
ラットに低頻度(2 Hz)および高頻度(100 Hz)の刺激を施した後、脳内オピオイド濃度を調べたところ、
低周波刺激によってベータエンドルフィンが、高周波刺激によってエンケファリンが増加することが報告されています。
 
 
2010年の研究の論文
Tsuchiya M、Sasaki K、Mochizuki Y、et al.
"Low-frequency electroacupuncture suppresses carrageenan-induced paw inflammation in mice via sympathetic post-ganglionic neurons, while high-frequency EA suppression is mediated by the sympathoadrenal medullary axis" 。
Evidence-Based Complementary and Alternative Medicineに掲載。
 
人体に対して、低周波(2 Hz)と高周波(100 Hz)の刺激を施した後の被験者の脳波を解析したところ、
低周波刺激によってベータエンドルフィンが、高周波刺激によってエンケファリンが放出されることが示唆されました。
 
 
Taniguchi, S., et al.
"Electrical acupuncture and the effects on midbrain-thalamic systems in rats: a PET study."
Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine 2011 (2011): 472789.
 
Taniguchiらによるものです。
彼らは、電気鍼刺激がラットの髄液中のベータエンドルフィン濃度を上昇させることを報告しています。
 
 
 
Liao, X., et al.
"Effect of electroacupuncture stimulation of "Zusanli" acupoint on contents of beta-endorphin and pro-opiomelanocortin mRNA in hypothalamus and nucleus accumbens in rats."
Zhen ci yan jiu= Acupuncture research 43.10 (2018): 622-626.
 
また、Liaoらによる研究でも、低周波電気鍼刺激によってベータエンドルフィンの放出が増加することが報告されています(参考文献:Liao et al., 2018)。
 
 
 
高周波刺激によってエンケファリンが放出されることが報告された研究は、
Gao, X., et al.
"Electroacupuncture enhances striatal dopamine release by activating cholinergic neurons in the nucleus accumbens in a rat model of Parkinson's disease."
PLoS One 13.2 (2018): e0192041.
 
彼らは、電気鍼刺激がラットの髄液中のエンケファリン濃度を上昇させることを報告しています。
 
 
Wei, J., et al.
"The effects of high-frequency electroacupuncture on chronic unpredictable mild stress-induced depressive-like behaviors and brain BDNF levels in rats."
Life sciences 242 (2020): 117226.
 
Weiらによる研究でも、高周波電気鍼刺激によってエンケファリンの放出が増加することが報告されています。
 

 
再現性を確認するためには、より多くの研究が必要とされています。
その他の内因性オピオイドの放出についても影響がある可能性があることや
刺激強度や刺激時間、刺激箇所などによっても内因性オピオイドの放出に影響がある可能性があるため、
詳細なプロトコルの検討が必要とされています。
 


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