癒着
癒着:コラーゲン組織が組織面などでくっついてしまうこと
原因:連結したマクロフィラメント瘢痕組織の異常発達
結果:コラーゲンベース組織の伸張性と弾力性低下
要因:固定、組織損傷の範囲、リペア手術後の縫合(局所貧血に関連する)、
過度のモビリゼーション(局所貧血に関連する)
分類
腱の癒着
リペア術後や損傷後の箇所とその周辺の長い腱
リペア術後や損傷後の腱組織のヒーリングプロセスにおいて:このプロセスは損傷後の腱周辺の癒着を促進し、腱の非運動性を促進する(悪い反応でなないが過度になると癒着が進行する)。
靱帯の癒着
靭帯とその下にある骨、柔部組織、靭帯との癒着
例:Grant’s NotchでのACL周辺の癒着
SMCL(Short MCL)とPOL(Posterior Oblique Ligament)の癒着
関節包の癒着
滑膜同士の癒着
例:GHJ(肩甲上腕関節)の特発性の癒着型関節包炎(主に下部凹み、前部での上腕骨と関節包)
滑液包の癒着
炎症時での滑膜同士の癒着
例:膝関節損傷後や術後のSupra-Patellar recess
慢性的な殿部や大転子の滑液包炎
筋膜の癒着
末梢神経の癒着
神経は四肢が動いているときは、その神経周辺の組織と一緒に動かなければならない。
癒着はEpineurium(神経上膜)と結合組織の間で起きる。特にマッスルゲートや神経の可動性が制限されている場所に癒着のリスクは高い。
例:Cubital Tunnel(肘のトンネル)での尺骨神経、Carpal Tunnel(手根トンネル)での正中神経
神経根の癒着
神経根は四肢が動いているときは、その神経周辺の組織と一緒に動かなければならない。
例:SLR(30~60°)の場合、Sacral plexus roots(仙骨神経叢根)は2~5mm尾側に動く
拘縮
関節をまたぐ結合組織などのShortening(ショートニング)=ROM制限
ロケーション
スキン
筋膜
筋肉
腱
M-T junction(筋腱接合部)
末梢神経
関節包
分類
1.筋肉固定の拘縮(特別に組織などが損傷したり病的であるわけではない)
・ROM制限による筋腱接合部の順応的ショートニング(この場合はROM制限が先に起こる)
・Tightness(タイト)(一時的な拘縮だが健康的なもの)
・中程度の拘縮(定期的にストレッチをしない状態。例としてハムストリングスなどの2関節をまたいでいる筋肉に多くみられる。)
2.不可逆性の拘縮
・骨のような非伸縮性の組織や結合組織
3.疑似筋伸展性拘縮
・CNS lesion(中枢神経障害)→Hyper-tonicity(緊張亢進)→疑似(見せかけの)ROM制限
Patho-mechanics of contracture(拘縮ができるメカニズム)
組織
組織損傷→Scar Formation(損傷痕/瘢痕組織)→瘢痕拘縮:コラーゲンが段々ショートニングになっていく→拘縮が拘縮を生む(フィードバック)→減痛のポジション=拘縮のポジション
長時間のキャスト(骨折時)
ストレスがかかっていないコラーゲン束の膨大な組織の分裂→コラーゲンの多層→拘縮したポジションでの段階的な再組織編成→拘縮
例)An external fixator(創外固定器)やベッドでのSlings(スリング)
結合組織や神経筋の異常
例)OA(変形性関節炎)やAS(強直性脊柱炎)
先天的奇形
後天的な骨奇形
拘縮とリモデリングに影響する要因
組織タイプ
筋腱接合部、腱、筋肉で拘縮速度が異なる。一番拘縮が早く起きるのは、筋腱接合部、次いで腱、最後に筋肉である。
基礎疾患
外傷後疾患が最も早く拘縮する。
弛緩によるPNS疾患はゆっくりと変化する。
固定するポジション
結合組織などは伸展されたポジションで固定すると癒着や拘縮が起きるリスクを最小限に抑える事ができる。
ストレス(負荷)をある程度かけないと拘縮のリスクは上がる。