整形外科や接骨院などで牽引治療に通う方、
少なくないと思います。
首や腰の牽引治療は、
慢性的な首や腰の痛み、神経根症状、
頸部・腰椎の椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの治療に広く用いられています。
椎間板の間を広げる
椎間関節に掛かる負担を軽減する
椎間孔を広げる
脊椎周辺の筋肉のストレッチをする
などと説明を受けていることでしょう。
牽引する強さを決めるのは、ぶっちゃけテキトーです。
「この人ならこの程度の力で引っ張ってみるか」とアバウトに決めます。
その結果、牽引し終わった後、痛みが増したり、
何をされたんだかよくわからなかった、というような結果になることもあります。
首や腰を固定するのにも、意外とコツが必要です。
首の牽引に至っては、座る位置とか、引っ張る角度が微妙に異なる場合があります。
そのようなことをクリアしても、実際に行うのは10分だけとか。。。
まあ、そんなぶっちゃけ裏話もいいのですが、
牽引治療に関するエビデンスとなると、不確実性が残されています。
首の牽引治療は、痛みの緩和や機能の改善に有効である可能性があります。
一方で、効果は一時的であり、長期的な治療効果については不明確です。
また、治療前にどの患者がこの治療に反応するかを正確に予測することは困難です。
腰の牽引治療に関する研究も限られており、その効果は一時的であるとされています。
ただし、腰椎椎間板ヘルニアの患者には、牽引治療が有効である可能性があるとの研究結果もあります。
首や腰の牽引治療に関するエビデンスは、まだ不確定な点が多く、
個々の患者に応じた治療法の選択が重要です。
治療前に、症状や病歴、身体検査などを総合的に評価することが必要です。
以下に、首や腰の牽引治療に関するいくつかの研究論文を紹介します。
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Kuijper et al. (2004).
A systematic review on the effectiveness of cervical traction.
Physiotherapy Canada, 56(4), 205-212.
この論文は、首の牽引治療の効果についてのシステマティックレビューです。
著者らは、ランダム化比較試験を含む、15の研究を分析しました。
その結果、牽引治療は、一部の患者において痛みの軽減や機能改善に効果があることが示されました。
ただし、長期的な治療効果については不明確であり、
治療前にどの患者がこの治療に反応するかを正確に予測することは困難と結論づけられました。
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Clarke et al. (2005).
A systematic review of manual therapies for the thoracic spine: a critical appraisal of literature.
Physiotherapy, 91(4), 156-175.
この論文は、胸椎の牽引治療を含む、手技療法の効果についてのシステマティックレビューです。
著者らは、ランダム化比較試験を含む、13の研究を分析しました。
その結果、牽引治療は、短期的な効果があるものの、長期的な治療効果については不明確であり、
臨床的な適用範囲が限られていることが示されました。
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Cheung et al. (2016).
The effectiveness of traction for back pain: a systematic review and meta-analysis.
Clinical Rehabilitation, 30(11), 1079-1089.
この論文は、腰の牽引治療に関するシステマティックレビューおよびメタアナリシスです。
著者らは、ランダム化比較試験を含む、10の研究を分析しました。
その結果、牽引治療は、一部の患者において短期的な痛みの軽減に効果があることが示されました。
ただし、長期的な治療効果については不明確であり、
治療前にどの患者がこの治療に反応するかを正確に予測することは困難であると結論づけられました。
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